「東京から電車で一時間ほどの小さな町に、私は住んでいる。この町で私は生まれ、今日まで他の町に住んだことはない。おそらく、ここで、死ぬだろう。私は、この町が好きである。」
(「わが町」昭和47年1月26日読売新聞掲載より)

今回ご紹介するのは、前述の通り、生粋の古河人である詩人の粕谷栄市先生です。
先生は、昭和9年、古河町(現古河市)一丁目に生まれ、早稲田大学商学部を卒業後、家業の製茶問屋を継がれました。高校時代、従兄の粒来哲蔵氏(先月号で紹介)の影響を受け詩作を始めます。早稲田大学在学中は早稲田詩人会に参加。卒業後、詩誌「ロシナンテ」に参加、またこの年、詩誌「現代誌」の新人賞佳作に入選しました。その後「竜」「地球」「鬼」等の同人となります。
 昭和46年、詩学社より詩集「世界の構造」を出版。翌年、同作品で第2回高見順賞を受賞しました。48年には詩誌「歴程」の同人となり、51年、現代文庫「粕谷栄市詩集」(思潮社)を刊行。平成元年、十数年の沈黙を破り、詩集「悪霊」を出版。異界とも他界とも知れない怪しい幻想城に棲んでいる、悪霊とおぼしきものとの凄絶な交渉を描いた同作品で、第27回島崎藤村記念歴程賞を受賞しました。その後、平成4年には詩集「鏡と街」を出版、7年には、江代充氏、高貝弘也氏、法橋太郎氏と詩誌「幽明」を創刊。また、現代詩人会H氏賞選考委員、現代詩人賞選考委員、藤村記念歴程賞選考委員を歴任。平成10年には「石垣りん詩集」の編集・解説を担当されるなど幅広い活躍をされています。

『歴程』粒来哲蔵