手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞 岡野玲子

 闇が闇として残っていた平安時代…
 華やかな王朝文化を翻せば閉ざされた都の闇には鬼神・妖魔・怨霊が存在し、魑魅魍魎が跋扈していた。そして、その闇を懐中のものとする、ひとりの雅にて、容貌涼やかなる男。名は安倍晴明。陰陽師。
 ここ数年、陰陽師、中でも陰陽師の代名詞と言われる安倍晴明が大変なブームとなっています。今回は、夢枕獏氏の原作を翻案・コミック化、この大ブームの火付け役ともなった漫画家・岡野玲子氏を紹介します。
 岡野氏は古河生まれ。1982年『エスタープリーズ』(プチフラワー)でデビュー。少女コミックを中心とした活動の中、89年「ファンシイダンス」で小学館マンガ賞を受賞。同作品は本木雅弘主演で映画化もされました。同年、少年誌での初連載となった「両国花錦闘士」(ビッグコミックスピリッツ)は空前の相撲ブームを巻き起こしました。現在は「陰陽師」(メロディ)のほか、中国唐時代をモチーフにした「妖魅変成夜話」(月刊百科)の 2 作品を連載中。常に時代をリードしていく発想で作品を生みだし、また、マンガのほかにも「Music for 陰陽師」を初め、自らの作品のイメージ音楽プロデュースを手がけるなど、幅広く活動しています。
 なお、「陰陽師」は本年 6 月、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。選考委員の荒俣宏氏は「推しに推した、いまいちばん文芸に近い作品」と絶賛しています。現在10巻まで刊行中。文学館の図書コーナーでも閲覧できます。確かな時代考証に基づく描写、そこから広がる岡野ワールドは不思議な魅力に満ちあふれています。ぜひ、一度手にとってみてはいかがでしょうか。

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