昭和10年に、8人の同人からなる詩誌が創刊されました。この詩誌の創刊号は20ページほどの薄い小冊子でしたが、戦前戦後を通じて詩の世界で大変大きな役割を担うことになりました。その雑誌の名前は「歴程」です。
この「歴程」という詩誌は、一方で古河と大変ゆかりのある雑誌であるともいえます。何故なら、既に文学館通信で紹介した古河ゆかりの3人の詩人達が、「歴程」に深いかかわりをもっているからです。
まず「歴程」創刊号の編集兼発行人が、谷中村出身(一説には古河で出生)の逸見猶吉です。創刊号では逸見の他、草野心平、土方定一、高橋新吉、中原中也等が同人となり、宮沢賢治の遺稿も掲載されるなど、多士済々の詩人達が誌面を飾っています。 次いで、伊藤信吉、山之口貘等が同人となり、高村光太郎、金子光晴、吉田一穂、尾崎喜八等が寄稿、10年間で途中3回の休刊をはさみながらも26号まで発行されました。
戦後は、昭和22年7月に復刊します。戦後の「歴程」で活躍するのが、粒来哲蔵、粕谷栄市の両先生です。先生方は活躍の時期は違いますが、「歴程」の編集に携わり、また、「歴程賞」の選考委員も務められております。戦後の「歴程」からは会田綱雄、山本太郎、及川均、宗左近、那珂太郎、安西均、串田孫一、矢内原伊作、粟津則雄、渋沢孝輔、長谷川龍生、辻井喬、入沢康夫、石垣りん、吉原幸子、等々紙面では書ききれない程の人材を輩出しております。
さらに、「歴程」には、詩誌の発行のみにとどまらない幅広い活動があります。詩の朗読会は勿論のこと、詩と音楽の会、詩と絵画の会、歴程展(詩、ノート、絵画、写真等)、歴程フェスティバル(各界人のスピーチ、歴程詩集朗読、詩劇上演等)、歴程賞の設置等、文学、美術、音楽、演劇と広く芸術一般との交流接触を積極的に行っています。こうした活動も、「それぞれの個性を尊重し、常に新しい創造を求める」歴程ならではのことといえましょう。