文学館の展示の中でもひときわ不思議な雰囲気を漂わせている「夜と海と」という詩のパネルをご覧になった方もいらっしゃると思います。このパネルの写真は、写真家土門拳が撮影した彫刻写真に日本を代表する58人の詩人が詩を寄せて出版された、箱根彫刻の森美術館の開館10周年記念写真集のものです。

今回は、この「夜と海と」を書かれ、現在古河にお住まいの粒来哲蔵先生をご紹介します。

先生は、昭和3年山形県米沢市に生まれました。昭和9年に福島県郡山市に転居、小学校の頃から母の影響で俳句・短歌に親しみ、中学時代には現代詩の創作に専念するようになります。また、この頃に草野心平と出会っています。その後、福島師範学校を経て教員生活に入りました。
 昭和27年、古河第一小学校に赴任、6年1組を担当。当時の教え子の方の印象を聞くと、詩の朗読やパントマイム、あるいは抽象画の説明、ガラス絵を描くといった面白い授業をされ、個々の子どもたちの才能を上手く引き出す工夫をされていたそうです。この時の教え子たちは現在も先生を慕って、交流を続けられています。2年後、東京に移り、詩誌「歴程」の同人となり草野心平に再会。また、井上靖、辻一、山本太郎らと知己を得ます。
その作品は高い評価を受け、様々な現代詩作品集に数多く収録される一方、昭和35年には詩集『舌のある風景』で土井晩翠賞、昭和46年に『孤島記』で現代詩人会H氏賞、昭和52年に『望楼』で高見順賞を受賞されました。この間、昭和42年には、三宅島に仕事小屋(通称、反理庵)を建て、以後の作品のほとんどをここで創作されています。
詩作の一方、島崎藤村記念歴程賞選考委員、尚美学園短期大学教授、白鴎大学教授等を歴任。現在も詩作に加え、エッセイ集を出版、先月は、文化協会主催の芸術講座で講師をされるなど、幅広く精力的に活動されています。

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