襖絵四面


  江戸のウォーターフロントであった隅田川(墨田川)両岸の名所風景は、流派を問わず、近世の画家たちに描き継がれた。本図にもまた、こうした江戸名所図でおなじみの、墨堤の桜・吾妻橋(大川橋)・待乳山聖天・三囲稲荷・真崎稲荷・遠景の筑波山といったモティーフが描かれている。一方、隅田川右岸の今戸付近から東を望む、その景観描写においては、山水画的遠近表現や俯瞰という東洋画の技法に、西洋画の透視遠近法が大胆に折衷されている。このように、本図は、名所絵の伝統に立脚しつつも、かつて谷文晁が〈真景図〉に与えた、実景の再現という方向性を大画面において推進しており、関東南画の近代的展開を示す作品として重要である。
なお、本図は、現状では二曲一双の屏風に改装されているが、もとは新潟県越路町の長谷川家書院の襖絵四面であった。

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