いよいよ世紀末世直りへの期待感

 今年も残すところあと1か月となりました。いよいよ21世紀を迎えるわけです。ふりかえってみると、鳥取の地震、三宅島の火山噴火など、今年はまさしく天変地異のうち続く年でした。
 ずいぶん以前の話で恐縮ですが、昨年、古河歴史博物館では『天変地異と世紀末』という特別展を開催しました。突然ふりかかる災害を人々はどのように受けとめてきたか。そして天変地異から連想される「この世の終わり感」ということをテーマにしたものでした。
 ところで、この展示は、日本人の終末観を、天変地異の観点から紹介したものです。そこでは、どうやら日本人は、この世の終わりというものを、災害時において目に映る状況にたとえてイメージしていたとおもわれるふしがあるのです。そしてこの世のすべてが破壊され、泥の海に化した世界のあとに生まれるユートピア=新たな世の生まれ変わり(世直り)を信じて災害を受け止めてきたようすがうかがえるのです。
 たとえば、文政9年(1826)に出版された『山海里』に「地震之事」という文章があります。そこでは、地震を仏説にもとづいて次のようにしるしています。「凶年は、地中の不順の邪気によるものだが、この邪気は震動して豊年となる。災いは震動によって福となる。この地震のシステムをさして『世直し』のことである」と。地震は、いったん構築された秩序が破壊されて、新たな世に生まれ変わると考えられていたのです。地震がおきたときに「世直り」「万歳楽」などということばを発して身を守ろうとしたのは、新たな期待感があってのことでしょう。
 20世紀を終えて、これから「世直り」への期待感をこめて新しい世紀を迎えることをお祈りし、今世紀末のしめくくりとさせていただきます。

 古河歴史博物館 学芸員 立石尚之