今月はちかく公刊されます鷹見泉石日記について紹介します。
鷹見泉石は江戸時代後期の古河藩主、土井利厚・利位の2代に仕えた江戸家老です。古河で生まれ12歳で江戸出仕後、50年間の公務を勤め、晩年は古河で日本初のオランダ国地図を制作しています。
現在残されている泉石の日記は12歳から晩年まで約60年間にわたります。途中欠けている年月もありますが125冊にのぼります。日記の存在は戦前から研究者の間では知られており、その刊行が長らく待たれていました。
泉石は非常に筆まめだったとみられ、日記とはいっても旅行記・覚書・金銭出納帳のようなものも含まれています。通常の日記は月日・天気・気温そして本文という体裁です。内容は公務に関するものが中心で、述は事実に即して客観的に記録し自分の感情は記していません。
また泉石日記の特色は実に大勢の人名が記述されていることです。例えば、ある年の2カ月半には260
余人の名前が記載されています。
泉石は当時、大槻玄沢・谷文晁・渡辺崋山といった著名な文人をはじめ幕臣・他藩の藩士・町人・オランダの商館長と幅広い階層の人々と交流しています。ですから本書を利用される方の問題関心によって幕政史・藩政史・蘭学史・対外交渉史・科学史・軍事史、さらには地理・民俗・武術・風俗・気候・地震・災害等々、幅広い活用が考えられます。
本書は原文のくずし字が活字化されていますが、史料集のため誰でも気軽に読めるものではありません。しかし内容豊富な史料ですので10年、20年後には本書の利用により、多方面からの成果が、必ず皆さんに還元されるに違いありません。
(古河歴史博物館編・吉川弘文館発行 全8巻 各巻1万3000円)
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