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正月とは、わたしたちの感覚では、一年の初めの月で、毎年1月1日から始まる1か月間、もしくは新年の祝いや行事をイメージします。ところが、必ずしも正月とは1月でなかったようです。『徳川実記』という記録によれば、寛文7年(1667)5月〜7月、江戸市中は正月に飾る門松でいっぱいであったといいます。このとき江戸近在の村里では新年を祝う儀式を行っていたようです。また、宝暦9年(1756)9月には、関西で悪疫流行の噂が広まり、正月の儀式を行えばこれを免れるとされました。このように、1月以外に正月行事を行うことを「にわか正月」「取り越し正月」「流行正月」と呼んだようで、たびたび悪疫流行や世の変災があるごとに行われました。 どうやら江戸時代の人々は、身の回りに起こる災厄や不幸を、その年回りに結びつけ、悪い年を早く終えて新しい年を迎えて災いから逃れようと考えていたようです。先の『古河日記』の記述は、このような考えが正月の儀礼にとどまらず、三月節句のひな祭りに発展して、祭り直しに及んだものでしょう。 古河歴史博物館学芸員 立石尚之 |