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篆刻美術館では、作品としての印影(刻印に朱色の印泥をつけて捺したもの)だけではなく、印材も展示します。生井家寄贈の生井子華先生が刻した印材も、印影と共に展示しています。印影が篆刻鑑賞の主眼ですが、印材も鑑賞対象だからです。作品の大半は、公募展出品作です。雅号姓名印などが少ないのは、これらは依頼によって制作され依頼者にわたり、刻者の手元には普通残らないからです。展示に際しては、全作品を公募展ごとに分類し、入賞・受賞作を中心に代表作品を選別し、制作年代順に並べています。 印材鑑賞には、刻された技法鑑賞と材質鑑賞があります。ここでは材質鑑賞について紹介します。篆刻で通常用いるのは石印材です。材質の良否は刀法にも影響し、良い材からは良い作品(印影)が出来上がります。ここでいう材質の良さとは、視覚的美しさを中心に、印刀による表現のしやすさ、捺しやすさ、触れたときの感触などから判断するものです。中国の石印材は、その産地によって名称があり、主産地により以下に大別されます。内蒙古自治区の巴林石、浙江省の青田石及び昌化石、福建省の寿山石です。なかでも寿山石は中国全土産出量の9割を占めるばかりか、材質でも他を大きく引き離しています。流通量が多く安価なのは、青田石と巴林石です。各石それぞれに特徴がありますので、見るだけではなく、刻してみたいものです。 写真:田黄石「樹下九老図」 |